竣工 | : | 2002年 |
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所在 | : | 栃木市 |
用途 | : | 銀行の支店 |
構造 | : | 鉄骨造 2階建て |
延床面積 | : | 503.73 ㎡ |
受賞 | : | 2003年度 栃木県マロニエ建築賞奨励賞 |
: | 第13回 甍賞 佳作 受賞 |
計画は深く地域に根ざしている伝統ある金融機関施設の栃木駅整備と周辺区画整理に伴う既存支店の移転計画です。近年"蔵の街"をテーマにまちづくりを積極的に推進している当市において、駅に隣接するメインストリート沿いが新店舗用地です。そのため、特に「栃木市の顔」となりえる施設づくり、環境づくりが強く望まれました。また、銀行支店施設としての利便性、経済性は言うまでも無く、街の中で金融施設の新しい関わり方を模索するものでもありました。
栃木市の蔵は「見世蔵」と呼ばれる通りに面して1階が大きく開かれた形態をしており、その連たんにより情緒ある街並みを形成しています。本用地は直接的に連たんしている「見世蔵」ゾーンから距離があることもあり、計画上、金融機関の用途から、通りに対し「見世蔵」的な動線上の大開放は難しいと考え、「見世蔵」の形態をそのまま表現する事は避けました。
そこで街の中での協調性を高めるため、街と金融施設との中間領域として回遊性、界隈性を増す路地空間を目指して、施設へのアプローチ空間としての「小路ギャラリー」と称する小イベントも可能なスペースを設定しました。そして、その小路ギャラリーの通り側には面格子を設けることで、小路の存在感を高め、また柔らかい顔の表情を持つ建物となりました。
内部においては、建物が北面を向いているため、切妻屋根の北斜面に連続する開口(トップライト)を設け、また、小路ギャラリーに向けて大きな開口部も設けることで、天井から木製ルーバー越しに柔らかい光が差し込み、視覚的にも開放的で明るい店舗空間となりました。街を演出する「顔」の一つとして違和感無く親しまれ、栃木駅周辺の新しい風景として育っていくものと思います。