設計にあたり
計画は、古いRCの建物を改装してイタリアンバールに変身するものである。
計画地は、かつて農協の倉庫としての石蔵や事務所に使っていたRC造の建物などに囲まれた広場が形成されており、地域住民の拠り所として賑わいの地域スポットであった。しかし時代も移り変わり農協の撤退後は閑散とした寂しい場所と化していた。石蔵に囲まれた空間は依然魅力的であり賑わいを再び取り戻したいと地元育ちのオーナーが夢を抱き、その第一歩としてイタリアンバール(レストラン)を出店することになった。
そこで広場の一角にあるRC造の建物が対象建物となり内外の大改装を行った。できるだけ手を入れずにノスタルジックなイメージを活かしながら必要最低限の改装であるもののアプローチや外構には蛇籠に入れた錆び石や樹木の配置などイメージ作りに努めた。広場を囲む石蔵とあいまって魅力作りのコンセプトはイタリアの田舎町にある風景づくりである。
そして、その徹底したイメージづくりは多くの集客を呼び、オープン以後人気のスポットとして親しまれている。今後は未使用の石蔵の改装を促進し、正に村の広場を形成し、かつての賑わいの場として復活を夢見ている。